整形外科
整形外科
整形外科は身体の芯になる骨・関節などの骨格系とそれを取り囲む筋肉やそれらを支配する神経系からなる「運動器」の機能的改善を重要視して治療する外科です。
スポーツ障害や交通外傷、労働災害などに代表される打撲、捻挫、骨折などの外傷学は勿論のこと、変形性変化を伴う加齢疾患、骨粗鬆症、関節リウマチ、痛風、腫瘍など、若年から老年まで幅広い患者層を扱います。
屈筋腱腱鞘炎ともいいますが、指が曲げにくくなったり、指の曲げ伸ばしの際に引っかかったりします。エストロゲンという女性ホルモンバランスの影響があると言われておりますが、男性にも起こります。症状のひどい方は手術加療を行いますが、症状の軽い方は注射や内服加療、リハビリ加療、外用薬等で経過を見る場合もあります。
手首にある手根管という部分には、指を曲げる屈筋腱や正中神経が通っていますが、その正中神経が横手根靱帯という靱帯に圧迫されて手にしびれが出現する病気です。
正中神経は主に母指から環指橈側を支配しているため、多くはその部分のしびれを認めます。
ひどくなると筋肉の萎縮も出現し物がつまみにくくなることがあるため、早期の治療が推奨されております。
症状が軽い場合は内服加療やリハビリ加療で経過をみますが、症状の強い方は手根管部分に注射を行ったり、外科的加療を行うこともあります。
関節リウマチの初期の症状はこわばりや腫れ、痛み、熱感などです。関節以外にも全身倦怠感などの症状が現れることがあります。病気が進行すると関節の軟骨や骨が破壊され、関節の変形に伴う屈曲拘縮、強直、脱臼といった重い症状が出るようになります。症状の強い方は人工指関節置換術や関節固定術を行うことがあります。
中年以降、特に50歳代に多く見られます。関節を構成する骨、軟骨、靭帯や腱などが老化して肩関節の周囲に炎症が起きることが主な原因と考えられています。急性期にはまず安静を計り、消炎鎮痛剤の内服、肩への注射が有効です。急性期が過ぎてからホットパックなどの温熱療法、また拘縮予防や筋肉を強化する為の運動療法を行います。
同じ姿勢で長時間仕事をした後などに、首や肩や肩甲骨のあたりに、おもだるい、張るなどと感じることを肩こりといいます。原因は主に筋肉の疲労です。同じ姿勢を続けるために、様々な筋肉を使い続けると血行が悪くなり、筋肉に老廃物としての乳酸が溜まり、重だるい感じを生じます。
代表的な疾患には、椎間板ヘルニア、骨粗鬆症に合併する圧迫骨折、脊椎脊髄損傷、頚椎症、頸髄症、脊椎すべり症、脊椎脊髄腫瘍、後縦靭帯骨化症、脊椎管狭窄症など様々あります。治療をするにあたり、原因を明確にして診断することが大切で、レントゲンの他に、CT、MRIなどが有用です。治療にはコルセットなどによる理学療法、薬物療法などの保存的治療と、手術による外科的治療があります。
椎間板が変性することで髄核が後方や後側方に脱出し、脊髄や神経根を圧迫する病気です。第5~6頚椎間、第6~7頚椎間、第4~5頚椎間の順に多くみられます。頚部や肩の痛み、脊髄性の場合は手全体や下肢の麻痺や痺れ、神経根性の場合は片方の上肢に放散する痛みや痺れ、麻痺を生じます。
関節リウマチが脊椎に症状が出たものです。椎間板が狭小しやすく、脊椎の後方の椎間関節も変形をきたしやすくなり、脊髄を圧迫することで足などに痛みや痺れ、麻痺を生じます。首が痛い、手足がしびれるというようなときは必ず来院頂き、頚椎のレントゲン検査を受けてください。
腰痛は、男性では1番目、女性でも肩こりに次いで2番目に訴えの多い症状です。腰は、腰椎と呼ばれる5つの骨がブロックのように積み上げられて構成されています。腰痛の多くは、腰椎に負担がかかったり障害が起きたりすることで発症しますが、その他にもさまざまな要因が腰痛の発症に関係しています。3ヶ月以上続く腰痛を慢性腰痛といいますが、その中で原因がはっきりしない腰痛を非特異的腰痛といいます。不安や鬱、社会的要因である仕事や家庭のストレスが絡んで痛みを脳で感じてしまうこともあります。要因や原因が多く存在する症状のため、まずはお気軽にご相談ください。
急性腰痛症ともいいますが、重いものを持ったり、急な動作によって突然腰に痛みが走ったり、場合によっては動けなくなってしまう病気です。たいていは、発症直後にほとんど動けない場合が多いので、自宅で横になって安静にします。少しでも動けるようになったら、痛みを軽減するために消炎鎮痛剤の使用や、腰部の筋肉内へのブロック注射や電気治療、コルセットや温熱療法などを行います。
背骨の骨と骨の間にクッションと関節の働きをする椎間板があります。これが後方へはみ出て神経を圧迫して炎症を起こし、腰痛や坐骨神経痛である下肢痛を生じる病気です。部位は第4腰椎と第5腰椎間に最も多く、その次に第5腰椎と仙椎間に多く見られます。一般的に最初の痛みの強い時は腰に負担をかけないようにします。薬物療法やブロック注射、コルセット、リハビリ等の保存的治療で軽くなることもありますが、効果がみられず麻痺や排尿障害、強い痛みが長く続き日常生活に支障が出る場合には手術が必要な場合があります。